プラセンタ注射について

プラセンタ注射の種類

プラセンタ注射に使用されるのは、厚生労働省の認可を受けたプラセンタ注射薬のみです。現在、国内では医療用医薬品である「ラエンネック」(株式会社日本生物製剤)と「メルスモン」(メルスモン製薬株式会社)の2種類で、どちらも原料はヒトプラセンタになります。ラエンネックは肝機能改善薬として、メルスモンは更年期障害と乳汁分泌不全の治療薬として使用される場合のみ、保険が適応されます。しかしそれ以外の症状でもご希望される場合、自由診療であればプラセンタ注射を受けることは可能です。
また、スーパープラセンタという注射薬もあります。未認可ではありますが、ヒトプラセンタとへその緒(サイタイ)の2つを原料としてエキスを抽出したもので、通常のプラセンタ注射液の500倍以上の濃度があるとされています。かなり高価なものですが、非常に長い持続力を発揮します。

プラセンタ注射

プラセンタ注射の方法

プラセンタ注射は病院、クリニックといった医療機関でのみ行われています。
方法としては、皮下注射、筋肉注射、ツボ注射、静脈注射・点滴注射があります。
皮下注射は、インフルエンザワクチンの接種などで行われる手法ですね。比較的少量を注入する際に選択されます。少しずつ血管に吸収されていくため即効性は低いものの、プラセンタ成分が徐々に血流に乗っていくので持続性が高いことが特徴です。
筋肉注射は、皮下注射よりも深く針を刺して、筋肉に直接注入していく手法です。人によっては、注入の最中や注入後、その部位に鈍い痛みや重さが残ることもあります。筋肉には血管が多いため、皮下注射よりも早くプラセンタ成分が血中に吸収されます。注入量も多くすることが可能ですし、即効性と持続性のバランスが良い方法と考えられます。
ツボ注射は、主に身体のどこかに痛みやコリがあるときに選択される手法です。漢方でいうところのツボや反応点、西洋医学での圧痛点に針を刺してプラセンタ成分を注入します。また、顔面にも用いられることがあります。ハリ治療とプラセンタ成分の作用を組み合わせたような方法であるといえます。
静脈注射、点滴注射は、投与方法としては認可されていませんが(非合法というわけではありません)、多くの施設で行われています。プラセンタ成分が一気に血管に注入されるので持続性は低いのですが、全身に行き届くまでが早いので即効性という部分では最も期待でき、効果の実感が得られやすい方法です。ただしこの手技は、安全性が確立されておらず、副作用の可能性が否定できないこと、即効性はあるけれど体外へ排出されるまでの時間も短いこと、を理解しておきましょう。

プラセンタ注射の目的

プラセンタが医療の分野で使用されることを総称してプラセンタ療法と言います。その目的は大きく分けて治療と美容の2つに分けられます。
治療目的でのプラセンタ注射は、前述したように、肝機能改善、更年期症状や乳汁分泌不全の改善といった保険診療に留まりません。新陳代謝の促進、自律神経やホルモンバランスの調整、免疫・抵抗力の向上などプラセンタの持つ様々な作用が多くの症状の改善に役立ちます。具体的には、疲れ・肩こり・腰痛・関節痛や冷え性、自律神経失調症、月経不順・月経困難症、アレルギー疾患、神経麻痺、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、膠原病などに対して使用されます。病気の治療だけでなく、健康状態の向上や維持にも有用とされています。
最もニーズが高いのは、美肌効果を期待する美容目的なのではないでしょうか。プラセンタ成分に含まれる成長因子の機能や新陳代謝を促進しメラニン生成を抑制する働きなどにより、シミ、しわ、ニキビ、くすみ、肌荒れなどの改善が期待できるとされています。プラセンタと美肌については、また別の章で詳しく触れることにしましょう。
プラセンタ注射の治療を行う場合には、初期(開始1〜2ヶ月)のうちは週に1〜2回、その後は維持療法として1〜2週間に一度のペースで続けていくことが多いようです。

プラセンタ注射メリット

プラセンタ注射のメリット

医療機関において医師による施術が受けられるため、安心感を得ることができますね。また、万が一副作用が起こってしまった場合にも、迅速で適切な対応を受けることができます。
使用されるのはヒトプラセンタのみですので、製剤としての安全性が確立されていることもメリットのひとつと言えるでしょう。
経口摂取と異なり、胃や腸での消化・吸収の影響を受けないため、プラセンタ成分が直接血管内にもたらされ、効果が期待できるのも注射ならではの特徴です。

プラセンタ注射のデメリット

適切な方法(皮下注射や筋肉注射、ツボ注射)では大きな副作用が起こることはほとんどありません。注射ですので、刺した部分の赤みや痛み、腫れは一時的ではありますが起こりえます。稀に、発熱、悪寒、発疹などの症状が見られることがあり、この場合には直ちに注射をやめ、症状に対応します。
プラセンタ注射はヒトプラセンタを使用しており、タンパク質・アミノ酸が含まれているため、アレルギー反応や閉経後の月経再開が起こることもあります。プラセンタ投与を中止することにより治まりますのでご安心ください。
認可されていない静脈注射・点滴注射では、血圧の低下、呼吸困難、けいれん、ショックなど重篤な副作用が出現したケースがあります。他の薬剤と混合させたカクテル注射でも、薬剤同士の予想外の相互作用により同様の事態が起こる可能性があります。注射の方法や内容には充分にご注意ください。
一度プラセンタ注射を受けただけで効果を実感することは珍しく、ある程度継続して体内のプラセンタ濃度を保つことが大切です。そのため注射は通院が必要となるため制約が多く、可能な方ばかりではありません。時間や労力を考えるとサプリメントの方が長く続けていきやすいかもしれませんね。

同意書へのサインが必要

プラセンタ注射を受けるにあたりご注意いただきたいことです。
安全性が確立されているヒトプラセンタ製剤の注射ではありますが、受けるにあたっては同意書にサインが必要になります。共通のものがあるわけではないため、医療機関ごとにプラセンタ注射を受ける初回時に署名することになります。書式は統一されていませんが内容はどこも同じようなもので、プラセンタ注射による効果や副作用、安全性についての説明が書かれています。
ここで何より重要なのは、プラセンタ注射を受けた方は献血ができなくなるということです。安全性は確かであるものの、未知なる感染症を予測して防ぐことはできないからです。当てはまるのはヒトプラセンタを使用する注射を受けた方のみで、サプリメントや内服薬の使用者は対象となりません。署名前に医師からの説明を受けるとき、不明な点があれば確認しましょう。美容効果が注目されるあまり、気軽に始めてしまう方も多いようですが、プラセンタ注射は治療であり医療行為です。注射の場所や方法、今後の治療計画などについて丁寧に相談に応じてくれる医師による治療を受けるようにしてください。

参考文献:
株式会社日本生物製剤社内資料
ラエンネック添付文書(株式会社日本生物製剤)
メルスモン添付文書(メルスモン製薬株式会社)
プラセンタ療法と統合医療 吉田健太郎・著(たま出版)
体にやさしい実践プラセンタ療法 吉田健太郎+各科医師16人(東洋医学舎)
胎盤力 プラセンタ・パワー 吉田健太郎・著(H&I)
プラセンタ医療の現場から 景山司・著(現代書林)
「健康食品」のホームページ |厚生労働省: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/
プラセンタエキス(化粧品):Cosmetic-Info.jp: http://www.cosmetic-info.jp/jcln/detail.php?id=1567
【医師監修】プラセンタ注射とは? | スキンケア大学: http://www.skincare-univ.com/article/004143/
【医師監修】それ認可されてる?プラセンタ注射の副作用とは | スキンケア大学: http://www.skincare-univ.com/article/004145/