プラセンタの安全性について

プラセンタエキスの原料

 プラセンタエキスの原料である胎盤は、ヒト由来、豚由来、馬由来、植物由来、海洋性と種類があります。プラセンタのように、主成分が化学物質ではなく生物材料であるものを「生物製剤」といいます。プラセンタの品質や安全性は、原料となる生物に左右されるのです。
 生物由来であることから「感染の危険はないのかしら?」「原料となる動物やヒトが病気だったらプラセンタに影響があるのでは?」といった疑問や不安も生じてくると思います。プラセンタの原料となる生物により、製造過程や安全基準が異なりますので、原料別にご説明していくことにしましょう。
 

ヒトプラセンタの安全性

 ヒト由来のプラセンタを原料としているのは医薬品のみになります。ヒトプラセンタ製剤は、生物製剤の中でも「特定生物由来製品」と区分され厚生労働省の認可を受けており、病原菌などあらゆる感染のリスクを考えて、製薬会社は厳重な安全対策を行い製造しています。
 胎盤を提供してくださる妊婦さんは、結核・淋病・梅毒などの細菌、B型・C型肝炎ウィルス、エイズ、成人T細胞白血病などの感染者ではない方、胎盤の提供に同意してくださる方に限られます。日本国内の契約を結んだ特定医療機関において、正常分娩で出産した場合の胎盤のみがプラセンタの原料となります。
 医療機関でのチェックを経た後、製薬会社でも細かく血液検査を行い、安全性を確認します。さらに医薬品としての安全性を高めるために、消化酵素と酸、121℃の高熱など異なる数種類の滅菌法を実施し、感染症がないことを確認して初めて製品化されるのです。
 このように、ヒトプラセンタは決められた入手経路と、徹底した品質管理、製造過程を経て製品となりますので、感染症のリスクは低いとされています。
 ヒトプラセンタは厳しい検査をクリアして安全性が確立されていますが、今までに発見されていない未知のウィルスや従来の加工処理によっても死滅しないウィルスが出てくる可能性も否定しきれません。しかし、これまで50年以上使用されてきて、プラセンタ製剤による大きな副作用や新たな感染症は一度も起こっておらず、ヒトプラセンタは極めて安全性が高いと考えられます。

動物由来プラセンタの安全性

主にサプリメントに使用される動物由来のプラセンタは、飼育環境や胎盤を取り出す環境の衛生度、プラセンタエキスの抽出方法や製品の製造過程などが品質に大きく影響します。ヒトプラセンタとは異なり、各メーカーの自主性による部分が大きいというのが実状です。しかし、メーカーごとに、医薬品用のヒトプラセンタに準じた基準が設定されており、安全性の確保に努めています。原料となる動物は徹底した衛生管理の下で健康体を選び、採取した胎盤も厳格な滅菌工程により感染症のリスクを減らし、製造過程で胎盤中の血液・ホルモンなども取り除かれます。
 医学的な報告はないものの、理論上、食肉に由来する人獣共通感染症のリスクを完全には否定できないため、感染のない安全な動物から適切に採取された胎盤が使用され、衛生的に製造加工されていることが重要となるからです。
 安全性を確保するため、栽培・飼育から加工・製造・流通などの過程を明確にする「トレーサビリティ」という仕組みがあり、そのシステムを導入し公開している製品もあります。トレーサビリティが徹底されているメーカーや製品は安全性、信頼性が高いと考えることができます。

プラセンタの安全性

豚プラセンタの安全性

  豚プラセンタはプラセンタサプリメントに最も多く使用されています。国内で非常に多く飼育されているため、その環境は様々で、全てが衛生的というわけにはいかないでしょう。また、病気の予防のためワクチン接種を受けている可能性があり、胎盤がワクチンの影響を受けていることも考慮しておくべきかもしれません。
 しかし「SPF豚」であれば高い安全性が期待できます。徹底された衛生的な環境の下、無農薬で飼育され、ワクチン接種も受けていない、厳しい基準をクリアした豚です。国産豚の約8%という希少な存在ですが、優良な飼育環境のおかげで過剰な滅菌処理を必要とせず、多くの有効成分を残した品質と安全性の高いプラセンタが製造可能です。

通常の豚プラセンタよりも価格は高めですが、安全を追求するのであればおすすめです。

馬プラセンタの安全性

 馬プラセンタもサプリメントやドリンクによく使用されています。馬は一度の出産で一頭しか産まないため、胎盤に有効成分がたくさん含まれています。また、徹底管理された衛生環境下で育てられているサラブレッドですので、高い安全性が保証されています。
品質が高いこともあり、価格は高いですが、期待以上に良い影響がもたらされる可能性は充分にあります。

安全性の低いプラセンタはあるの?

 安全性が低いというわけではないのですが、妊娠している方や授乳中の方、お子様のプラセンタサプリメント摂取に関しては、信頼しうる安全性についての情報・報告がありませんので、お控えになった方が安心です。

 以前はプラセンタの原料として使用されていた牛は、BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)の影響を受け、安全性が問題視されたため、厚生労働省により禁止されました。2000年に、反芻動物(牛や羊)の胎盤は安全性が懸念されるため原料にしてはいけない、との通告が出され、現在国内では一切使用されていません。BSEやクロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)はプリオンというタンパク質の異常により起こる病気ですが、感染した牛の特定部位を経口摂取することで感染するとされているため、安全性を重視した対策がとられたのです。

プラセンタの副作用

プラセンタは基本的に副作用のない安全性の高い成分です。
 プラセンタ摂取により体重増加や肥満、胸の張りや痛み、頭痛、ニキビ、じんましん、月経異常(出血増加や周期の不順など)、睡眠障害などが起きたという報告があります。
 これは一般的に副作用と呼ばれるものではなく、症状や体調が改善する方向に進む際、一時的に通常よりも体の調子が悪くなる、という正常な反応現象(好転反応)である場合が多いのです。
しばらくすると自然に軽快してきますので、プラセンタによる体への悪影響だと思い込まないように気を付けましょう。
 しかし、症状が重く日常生活に支障をきたしたり、全く軽快する様子がない場合には、プラセンタの成分ではなく製品に配合された他の成分が原因となっている可能性がありますので、摂取量を控えたり、製品を変えたり、体調によっては医師に相談することをおすすめします。

参考文献:
株式会社日本生物製剤社内資料
ラエンネック添付文書(株式会社日本生物製剤)
メルスモン添付文書(メルスモン製薬株式会社)
プラセンタ療法と統合医療 吉田健太郎・著(たま出版)
体にやさしい実践プラセンタ療法 吉田健太郎+各科医師16人(東洋医学舎)
胎盤力 プラセンタ・パワー 吉田健太郎・著(H&I)
プラセンタ医療の現場から 景山司・著(現代書林)
「健康食品」のホームページ |厚生労働省: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/
プラセンタエキス(化粧品):Cosmetic-Info.jp: http://www.cosmetic-info.jp/jcln/detail.php?id=1567
「健康食品」の安全性・有効性情報: http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail755.html
ウシ等由来成分を原料として製造される医薬品、医療用具等の品質及び安全性確保の強化に係る承認申請等の取扱いについて: http://www.mhlw.go.jp/topics/2001/0111/tp1101-1.html
牛海綿状脳症(BSE)等に関するQ&A |厚生労働省: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bse/topics/tp010308-1.html
厚生労働省告示第二百十号○生物由来原料基準(平成十五年五月二十日)